「アローダイアグラムって矢印がたくさん書かれてて、どこを見ればいいか分からない…」と感じていませんか?実はこの図、見るポイントさえ押さえれば確実に得点できるサービス問題です。

対象試験と出題頻度

アローダイアグラム(PERT図)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで出題される、プロジェクトマネジメント分野の超定番テーマです。

特にクリティカルパスと最短所要日数を求める計算問題は、ほぼ毎回どこかの試験区分で姿を変えて登場します。図の読み取り方を一度マスターすれば、安定して1問取れる得点源になります。

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対象試験:
ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「アローダイアグラムとPERT図って同じ?違うもの?」と混乱しがちです。結論から言うと、試験ではほぼ同じものとして扱われます。

アローダイアグラム(PERT図)とは、一言で言うと

 「作業の順序と所要日数を矢印で結び、プロジェクト全体の最短完了日数を求める図

のことです。

イメージとしては、カレー作りの段取り表です。

カレーを作るとき、「肉を切る」と「野菜を切る」は同時にできますが、「煮込む」は両方が切り終わってからでないと始められません。さらに、ご飯を炊くのは並行して進められます。

こうした作業の前後関係と所要時間を矢印で繋いで、「全部終わるまでに最短何分かかるか」を計算する図がアローダイアグラムです。

📊 アローダイアグラムの基本情報

項目 内容
英語名 Arrow Diagram / PERT(Program Evaluation and Review Technique)
分類 プロジェクトのスケジュール管理技法(新QC七つ道具の一つ)
主な利用工程 プロジェクト計画立案・進捗管理
構成要素 結合点(〇)、作業(実線矢印)、ダミー作業(点線矢印)

解説

プロジェクトには複数の作業があり、「Aが終わらないとBが始められない」「CとDは同時に進められる」といった依存関係が絡み合います。

これを文章だけで管理すると、全体の完了日が読めず、どの作業が遅れたら全体に響くのかも見えません。

そこで考案されたのがPERT(米海軍が1950年代にポラリス潜水艦ミサイル開発で導入した手法)で、これを日本の現場向けに整理したものが新QC七つ道具のアローダイアグラムです。

3つの構成要素

要素 記号 役割
結合点(ノード) 〇(番号付き) 作業の開始・終了タイミングを示す節点。日数は持たない
作業 →(実線矢印) 実際の作業を表す。矢印の上に作業名、下に所要日数を書く
ダミー作業 ⇢(点線矢印) 所要日数0の架空の作業。前後関係だけを表現するために使う

シンプルなアローダイアグラム

具体例で見てみましょう。A〜Eの5つの作業から成るプロジェクトを図解します。

プロジェクト例(数字は所要日数)

A 3日 B 4日 2日 C D 5日 6日 E クリティカルパス(A→B→D = 12日) 通常経路(C→E 側は 11日:1日の余裕あり)

▲ ①が開始、⑤が終了。赤い太線が最長経路=クリティカルパス(A→B→D = 3+4+5 = 12日)

最早結合点時刻と最遅結合点時刻

各結合点には2つの時刻を計算します。

最早結合点時刻(EST):その結合点に最も早く到達できる日数。開始点から順方向に「入ってくる経路のうち最大値」を選んで足していきます。

最遅結合点時刻(LST):全体を遅らせずに済む限界日数。終了点から逆方向に「出ていく経路のうち最小値」を選んで引いていきます。

上の図で計算すると、結合点②の最早結合点時刻は3日(①→②でA:3日)、結合点③は3+4=7日、結合点④は3+2=5日、結合点⑤は max(7+5, 5+6) = max(12, 11) = 12日です。これがプロジェクト全体の最短所要日数になります。

クリティカルパスとは

クリティカルパスとは、開始から終了までの経路のうち最も時間がかかる経路のことです。この経路上の作業が1日でも遅れると、プロジェクト全体が遅れます。逆に、それ以外の経路には余裕(フロート、スラック)があります。

上の例では、①→②→③→⑤(A→B→D = 3+4+5 = 12日)がクリティカルパスです。

もう一方の①→②→④→⑤(A→C→E = 3+2+6 = 11日)は1日の余裕があります。

💡 クリティカルパスの見つけ方(早業)
「最早結合点時刻=最遅結合点時刻」となる結合点を辿った経路がクリティカルパスです。余裕がゼロの結合点を結ぶ、と覚えてください。

ガントチャートとの違い

図の名称 得意なこと 苦手なこと
アローダイアグラム 作業の前後関係・クリティカルパスの把握 進捗率の見える化
ガントチャート 作業の開始・終了日と進捗の見える化 作業間の依存関係の把握

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 アローダイアグラムの核心を3行で

・作業の前後関係と所要日数を矢印で結び、プロジェクトの最短完了日数を導く図
・結合点(〇)、作業(実線矢印)、ダミー作業(点線矢印)の3要素で構成される
・最も時間がかかる経路=クリティカルパスを見つけることが最大の目的


試験ではこう出る!

アローダイアグラムは、IP・FE・APの全区分で計算問題として頻出します。問われ方は次の3パターンに集約されます。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
IP R5
問40
アローダイアグラムから最短所要日数を求める計算問題。 ・各経路の合計日数を比較し最大値を選ぶ
・ダミー作業を含む経路の処理
FE R3秋
問52
作業日数を短縮した場合のクリティカルパスの変化を問う問題。 ・短縮後にクリティカルパスが切り替わるパターン
・「あと何日短縮すると別経路がクリティカルになるか」
AP H30秋
午前 問52
最遅結合点時刻を求める計算問題。 ・終了点から逆算する
・複数の出経路がある場合は最小値を採用
AP H27春
午前 問51
アローダイアグラムの説明として正しい記述を選ぶ問題。 ・「作業の順序関係を表す」が正解
・ガントチャート・特性要因図・パレート図がひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:最短所要日数を求める
図が与えられ、開始から終了までの全経路の合計日数を計算し、最大値を答える。並行する経路が2〜3本あるのが定番。

 

パターン2:クリティカルパスを特定する
選択肢に経路(例:A→C→E)が並び、最も日数がかかるものを選ぶ。ダミー作業(点線矢印)を経路に含めるか否かで迷わせるひっかけがある。

 

パターン3:最遅結合点時刻・余裕日数の計算
「結合点Xの最遅開始日は何日目か」「作業Yの余裕日数は何日か」を問う応用形。終了点から逆算する手順を機械的に行えるかが勝負。

 

ひっかけ選択肢の傾向
・最大値を取るべき場面で最小値を選ばせる(最早結合点時刻の計算ミスを誘発)
・ダミー作業の日数を0以外と勘違いさせる
・選択肢に「最短経路」を入れて最長経路(クリティカルパス)と混同させる

 

深追いは不要です。「最早は最大、最遅は最小、ダミーは0日」の3点だけ覚えれば、ほぼ全問対応できます。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. アローダイアグラム(PERT図)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. プロジェクトを構成する作業の前後関係と所要日数を矢印と結合点で表現し、最短所要日数やクリティカルパスを導き出すための図である。
  • B. 作業の開始日と終了日を横棒で表し、各作業の進捗状況や期間を時間軸に沿って一覧できるようにした図である。
  • C. 不具合や品質問題の原因となる要因を、大骨・中骨・小骨の階層で魚の骨のように整理して原因分析を行う図である。

正解と解説を見る

正解:A

解説:
アローダイアグラム(PERT図)は、作業の依存関係と所要日数を矢印と結合点で表現し、プロジェクト全体の最短完了日数とクリティカルパスを算出するためのスケジュール管理技法です。

選択肢Bはガントチャートの説明です。ガントチャートは進捗の見える化に強い一方、作業間の依存関係を表現できない点でアローダイアグラムと役割が異なります。選択肢Cは特性要因図(フィッシュボーン図、石川ダイアグラム)の説明です。これはQC七つ道具の一つで、品質管理における原因分析に用いられ、スケジュール管理とは目的が異なります。


よくある質問(FAQ)

Q. ダミー作業はなぜ必要なのですか?

アローダイアグラムには「同じ2つの結合点を複数の矢印で結んではいけない」「作業の前後関係を矢印の向きだけで正確に表現する」というルールがあります。例えば「作業Cは作業AとBの両方が終わってから開始でき、作業Dは作業Aだけ終われば開始できる」という関係を素直に書くと矛盾が生じます。このとき所要日数0のダミー作業(点線矢印)を挟むことで前後関係だけを正しく表現できます。試験では「ダミー作業の所要日数は0」と覚えておけば対応できます。

Q. アローダイアグラムとPERT、CPMはどう違いますか?

PERT(Program Evaluation and Review Technique)とCPM(Critical Path Method)は、いずれも1950年代後半に米国で生まれたプロジェクトスケジュール管理技法です。PERTは作業日数を確率的に扱い、CPMはコストと日数のトレードオフを扱う点で歴史的には区別されますが、現代では同種の手法として統合的に扱われます。アローダイアグラムはこれらを記述するための図の名称で、日本ではJIS化されて新QC七つ道具にも採用されました。IPA試験では3者を厳密に区別する問題は出題されないので、「同じものを指す呼び方違い」と捉えて問題ありません。

Q. クリティカルパスは必ず1本だけですか?

いいえ、複数存在することがあります。所要日数が同じ最長経路が2本以上ある場合、それらすべてがクリティカルパスです。この場合、いずれの経路上の作業が遅れてもプロジェクト全体に影響するため、進捗管理上は両方を重点監視する必要があります。試験問題では「クリティカルパスをすべて選べ」という形式は稀ですが、計算結果が同値になったときに「片方だけが正解」と早合点しないよう注意してください。

Q. 実務ではアローダイアグラムをまだ使っていますか?

手書きで描く現場は減りましたが、MS ProjectやBacklog、Asanaなどのプロジェクト管理ツールが内部でクリティカルパス計算ロジックを実装しており、ガントチャート上に依存関係と最長経路を自動表示してくれます。つまり「アローダイアグラムの考え方」は今もプロジェクト管理の根幹で生きています。資格試験のために学んだ知識は、実務でツールを使いこなす際の理解に直結します。