「使い勝手の良いソフトウェア」とよく言われますが、これを試験用語として整理したのが「使用性」です。本記事ではISO/IEC 25010に基づく使用性の定義と6つの副特性、試験での出題傾向まで一気に解説します。
対象試験と出題頻度
使用性は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
ソフトウェア品質特性(ISO/IEC 25010)の8つの主特性のうちの1つとして、他の特性(機能適合性・信頼性・保守性など)との比較問題で問われやすい論点です。
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基本情報技術者
応用情報技術者
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「使用性って『使いやすさ』のこと?それなら何でわざわざ専門用語にするの?」と混乱しがちです。
使用性(Usability)とは、一言で言うと
「特定の利用者が、特定の目的を達成するためにソフトウェアを使うときの、わかりやすさ・使いやすさ・満足度の度合い」
のことです。
イメージとしては、「家電のリモコン」です。
ボタンが多すぎて何を押せばよいかわからないリモコン、説明書を読まないと使えないリモコン、押し間違えやすいリモコンは「使用性が低い」と言えます。
逆に、初めて触る人でも直感的に操作でき、誤操作しにくく、見た目も心地よいリモコンは「使用性が高い」わけです。
📊 使用性の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Usability |
| 規格 | ISO/IEC 25010(SQuaRE)製品品質モデル |
| 分類 | 8つの品質主特性のうちの1つ |
| 副特性 | 適切度認識性、習得性、運用操作性、ユーザエラー防止性、UI快美性、アクセシビリティ |
解説
かつてのソフトウェア品質は「バグがないこと」「速く動くこと」が中心でした。
しかし、機能や性能が十分でも「使いにくい」と利用者に敬遠され、結局使われないシステムが多く生まれます。
そこで国際規格ISO/IEC 25010では、利用者目線の「使いやすさ」を独立した品質特性として定義し、開発・評価の指標に組み込みました。これが使用性です。
ISO/IEC 25010における位置づけ
製品品質モデルの全体像と、使用性の位置を図にすると次のようになります。
ISO/IEC 25010 製品品質モデル(8つの主特性)
使用性の6つの副特性
使用性はさらに6つの副特性に分解されます。それぞれが「使いやすさ」のどの側面を測るかを押さえると、選択肢の見分けが楽になります。
| 副特性 | 意味 | 身近な例 |
|---|---|---|
| 適切度認識性 | そのソフトが自分のニーズに合うか、利用前に判断できる度合い | アプリのストア説明やスクリーンショットで用途がわかる |
| 習得性 | 使い方を効率的に学習できる度合い | チュートリアルを1回見れば操作を覚えられる |
| 運用操作性 | 操作・制御がしやすい度合い | ボタン配置が直感的、ショートカットが使える |
| ユーザエラー防止性 | 利用者が誤操作するのを防ぐ度合い | 削除前に確認ダイアログが出る |
| UI快美性 | UIが利用者にとって心地よく満足できる度合い | 配色やレイアウトが美しく、使っていて気持ちよい |
| アクセシビリティ | 多様な能力を持つ利用者が利用できる度合い | スクリーンリーダー対応、文字サイズ変更可能 |
混同しやすい「機能性」との違い
使用性と最も混同されやすいのが「機能適合性」です。機能適合性は「やりたいことができるか」、使用性は「やりたいことをラクに達成できるか」を測ります。
例えば検索機能が存在することは機能適合性、検索窓が見つけやすく結果が読みやすいことは使用性に該当します。
💡 使用性の核心を3行で
・利用者がソフトウェアを使う際の「わかりやすさ・使いやすさ・満足度」を測る品質特性
・ISO/IEC 25010で定義される8主特性のうちの1つ
・6つの副特性(適切度認識性/習得性/運用操作性/エラー防止性/UI快美性/アクセシビリティ)に分解される
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
試験ではこう出る!
使用性は、FE・APの午前問題でソフトウェア品質特性の比較問題として出題されます。出題パターンは大きく2つです。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| FE H29春 午前 問46 |
JIS X 25010の品質副特性のうち、使用性に該当するものを選ぶ問題。 | ・正解は「習得性」 ・「移植性」「保守性」「機能性」の副特性がひっかけ |
| AP H25秋 午前 問46 |
使用性の説明として適切なものを選ぶ問題。 | ・「利用者がソフトウェアを理解・習得・利用できる度合い」が正解 ・信頼性・効率性・移植性の説明がひっかけ |
| AP H22秋 午前 問45 |
操作のわかりやすさを評価する品質特性を問う問題。 | ・正解は「使用性」 ・効率性・信頼性・保守性が並ぶ |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「使用性の説明を選べ」
8つの主特性の説明文が並び、使用性に該当するものを選ぶ形式。キーワードは「理解」「習得」「利用」「満足」。「信頼性(故障の少なさ)」「性能効率性(応答時間)」「移植性(環境への適応)」が定番のひっかけです。
パターン2:「副特性の所属先を選べ」
「習得性」「運用操作性」「アクセシビリティ」などが提示され、これらが属する主特性を答える形式。逆に、副特性候補から使用性に属するものを選ばせるパターンもあります。「試験性(テスト容易性)」は保守性、「適応性」は移植性に属するので除外できます。
深追いは不要で、「使用性=利用者目線の使いやすさ」「6つの副特性の名前と概要」まで押さえれば十分です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. ISO/IEC 25010で定義される「使用性」の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. 障害が発生してもシステムが指定された機能を維持し続け、規定された時間正しく動作し続ける度合いを表す品質特性。
- B. 特定の利用者が特定の目的を達成するために、ソフトウェアを理解・習得・利用できる、わかりやすさと満足度の度合い。
- C. 指定された条件下で、応答時間・処理時間・資源利用量などが要求を満たす度合いを表す品質特性。
正解と解説を見る
正解:B
解説:
選択肢Bは使用性そのものの定義です。利用者の「わかりやすさ・使いやすさ・満足度」を測る点が他の品質特性との明確な差です。
選択肢Aは「信頼性」の説明です。信頼性は障害発生時の機能維持や稼働継続性に着目するもので、使いやすさとは別軸の特性です。選択肢Cは「性能効率性」の説明です。応答時間や資源利用量といった数値で測る性能の指標であり、利用者の主観的な使いやすさを測る使用性とは区別されます。
よくある質問(FAQ)
Q. 使用性とUX(ユーザー体験)は同じものですか?
近い概念ですが同じではありません。使用性はISO/IEC 25010が定義する「ソフトウェア製品が持つ品質」の一側面で、評価可能な特性として整理されています。一方UXは利用前の期待や利用後の余韻まで含む、より広い体験全体を指します。使用性はUXを構成する重要な土台ですが、UX=使用性ではないと理解しておけば十分です。
Q. ISO/IEC 25010の前は何という規格でしたか?
前身はISO/IEC 9126で、品質特性は6つ(機能性・信頼性・使用性・効率性・保守性・移植性)に分類されていました。25010ではこれが8つに再編され、「互換性」と「セキュリティ」が独立した主特性として加わりました。古い参考書では9126ベースの記述が残っているため、副特性の数や名称が異なる場合は規格世代の違いを疑ってください。
Q. 実務では使用性をどう測りますか?
代表的な手法はユーザビリティテストです。実際の利用者にタスクを与えて操作してもらい、達成率・所要時間・エラー回数・満足度アンケートなどを記録します。また、SUS(System Usability Scale)という10問の標準アンケートで定量評価する方法も広く使われています。専門家が経験則で評価するヒューリスティック評価も併用されます。
Q. アクセシビリティが使用性の副特性なのは違和感があります。独立した概念ではないのですか?
実務ではアクセシビリティを独立テーマとして扱う組織も多く、違和感を持つのは自然です。ただしISO/IEC 25010では「多様な能力を持つ利用者が使えること」を使いやすさの一形態と位置づけ、使用性の副特性に含めています。試験では規格に従い「アクセシビリティは使用性の副特性」と覚えてください。