対象試験と出題頻度

信頼性(Reliability)は、基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。

ソフトウェア品質特性(ISO/IEC 25010)の中の1つの主特性として位置づけられ、「機能適合性」「性能効率性」「使用性」などと並べて出題されるパターンが定番です。

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対象試験:
基本情報技術者
応用情報技術者
出題頻度:
★★★☆☆
ランクB(標準)覚えておくと有利

用語の定義

情報処理試験を勉強していると、「信頼性って“壊れにくさ”?でも可用性とどう違うの?」と混乱しがちです。

信頼性(Reliability)とは、一言で言うと

 「指定された条件のもとで、ソフトウェアが必要な機能を、定められた期間にわたり実行し続ける能力

のことです。

イメージとしては、毎日決まった時刻に来る路線バスです。

路線バスは、雨でも晴れでも、混雑していても、時刻表どおりに目的地まで運んでくれます。たまに渋滞で遅れても、すぐに通常運行に戻るのが「信頼できるバス」です。

ソフトウェアの信頼性も同じで、決められた条件下で「期待どおり動き続けられるか」「故障してもすぐ立ち直れるか」を表します。

📊 信頼性の基本情報

項目 内容
英語名 Reliability
規格上の位置づけ ISO/IEC 25010 ソフトウェア品質モデルの主特性の1つ
主な副特性 成熟性、可用性、障害許容性(耐故障性)、回復性
代表的な指標 MTBF(平均故障間隔)、故障率

解説

ソフトウェアは作って終わりではなく、稼働してから初めて本当の価値が問われます。

動いている途中で頻繁に止まったり、想定外の入力で誤動作したりすれば、利用者は安心して使えません。

そこで国際規格 ISO/IEC 25010 では、ソフトウェア品質を8つの主特性に分け、その1つに「期待どおり動き続ける能力」を据えています。これが信頼性です。

信頼性を構成する4つの副特性

信頼性は、さらに4つの副特性に分解されます。

試験ではこの分解パターンが問われやすいので、表で押さえてください。

副特性 意味 例え(路線バス)
成熟性
(Maturity)
通常の使い方で故障せずに動き続ける度合い 普段から滅多に故障しないバス
可用性
(Availability)
必要なときに利用可能な状態にある度合い 乗りたい時刻に必ず来てくれるバス
障害許容性
(Fault Tolerance)
障害があっても運用を続けられる度合い エンジン1基が止まっても代替で走れるバス
回復性
(Recoverability)
障害発生後に状態を復旧し、データを取り戻す度合い 故障しても短時間で運行を再開できるバス

図解:信頼性と副特性の関係

信頼性(Reliability)

成熟性

壊れにくさ

可用性

使いたいときに使える

障害許容性

壊れても動き続ける

回復性

壊れてもすぐ戻る

▲ 信頼性は4つの副特性の組み合わせで成り立つ

混同しやすい「可用性」との関係

「信頼性」と「可用性」を同じものだと誤解する人が多いです。

実は ISO/IEC 25010 では、可用性は信頼性の副特性として位置づけられています。つまり可用性は信頼性に含まれる一部分です。

一方、セキュリティ分野で言う「可用性(CIAのA)」は別文脈の用語であり、こちらは情報セキュリティの3要素の1つです。同じ単語でも文脈で意味が変わる点に注意してください。

信頼性を測る代表指標:MTBFと故障率

信頼性は数値でも評価されます。代表指標が MTBF(Mean Time Between Failures:平均故障間隔)です。

📐 計算式

MTBF = 総稼働時間 ÷ 故障回数

例:1,000時間稼働して2回故障した場合、MTBF = 500時間

MTBFが大きいほど「故障しにくい=信頼性が高い」と判断します。逆数の 故障率(単位時間あたりの故障回数)も同じ概念を別角度から見たものです。

💡 信頼性の核心を3行で

・指定された条件下で、定められた期間にわたり機能を維持する能力
・副特性は「成熟性」「可用性」「障害許容性」「回復性」の4つ
・代表指標はMTBF(平均故障間隔)。値が大きいほど信頼性が高い

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。


試験ではこう出る!

信頼性は、FE・APの午前問題でソフトウェア品質特性の比較問題として頻繁に登場します。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
FE H30秋
午前 問46
JIS X 25010の品質特性のうち「信頼性」の説明として適切なものを選ぶ。 「明示された条件下で機能を実行する度合い」が正解。機能適合性・性能効率性・使用性の説明がひっかけ
AP H29春
午前 問46
信頼性の副特性として正しい組合せを選ぶ。 「成熟性・可用性・障害許容性・回復性」が正解。学習性・運用操作性は使用性の副特性
FE R元秋
午前 問59
MTBFの計算問題。総稼働時間と故障回数から平均故障間隔を求める。 MTBF = 総稼働時間 ÷ 故障回数。MTTR(平均修理時間)と混同させる選択肢に注意

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:「品質特性の説明を選べ」
8つの主特性(機能適合性・性能効率性・互換性・使用性・信頼性・セキュリティ・保守性・移植性)の説明文が並び、信頼性に該当するものを選ぶ形式。キーワードは「明示された条件」「機能を実行する度合い」「期間」。

 

パターン2:「副特性を選べ」
「成熟性・可用性・障害許容性・回復性」の4つセットを選ばせる形式。ひっかけは「学習性」「習得性」(使用性の副特性)や「機密性」「完全性」(セキュリティの副特性)。

 

パターン3:「MTBFの計算」
総稼働時間と故障回数からMTBFを算出する単純計算。MTTR(平均修理時間)との取り違えがひっかけポイント。

 

試験ではここまででOKです。深追いは不要なので、副特性4つとMTBFの式だけは確実に押さえてください。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. ISO/IEC 25010におけるソフトウェア品質特性「信頼性」の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. ソフトウェアが明示された状況下で使用するとき、効率的に学習でき、利用者を満足させる度合い。
  • B. 認可されていない者に対して情報が開示されないように保護する度合い。
  • C. 明示された条件下で、定められた期間にわたり、必要な機能を実行できる度合い。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
信頼性は「指定された条件のもとで、必要な機能を定められた期間にわたって実行する能力」と定義されます。Cの「明示された条件下」「定められた期間」「必要な機能を実行」というキーワードが揃っており、これが正解です。

選択肢Aは「使用性(Usability)」の説明です。学習しやすさ・満足度は使用性の副特性に含まれる観点です。選択肢Bは「セキュリティ」の副特性である「機密性(Confidentiality)」の説明です。情報の非開示を扱う概念であり、信頼性とは別の主特性に属します。


よくある質問(FAQ)

Q. RASIS(信頼性評価の5項目)と、品質特性の信頼性は別物ですか?

関連はありますが文脈が異なります。RASISは「Reliability・Availability・Serviceability・Integrity・Security」の頭文字で、システム評価の総合指標として使われる古典的な枠組みです。一方、品質特性の信頼性はISO/IEC 25010で定義されたソフトウェア品質モデルの主特性です。試験では両方とも出題されるので、出題文に「RASIS」とあればシステム評価、「JIS X 25010」「品質特性」とあれば品質モデルと判断してください。

Q. MTBFとMTTRの違いは何ですか?

MTBF(Mean Time Between Failures)は「故障せずに動き続ける平均時間」、MTTR(Mean Time To Repair)は「故障してから復旧するまでの平均時間」です。MTBFは大きいほど良く、MTTRは小さいほど良い、という方向性の違いがあります。稼働率は MTBF ÷(MTBF + MTTR)で計算でき、可用性の評価に使われます。試験ではこの計算式を直接問う問題も出るので押さえておいてください。

Q. 障害許容性と回復性はどう違いますか?

障害許容性(Fault Tolerance)は「障害が起きても運用を継続できる能力」、回復性(Recoverability)は「障害発生後に正常状態へ戻す能力」です。前者は冗長化やフェイルオーバーで実現し、後者はバックアップ復元やリスタート機能で実現します。たとえばサーバの一台が落ちても他のサーバが処理を引き継ぐのが障害許容性、停電後にデータを直前の状態まで戻せるのが回復性です。

Q. 実務で信頼性を高めるにはどうしますか?

設計段階では冗長構成(クラスタ・ロードバランサ)、例外処理の徹底、入力値バリデーションを行います。運用段階では監視ツールで異常検知を自動化し、定期的なバックアップとリストア訓練を実施します。近年はSRE(Site Reliability Engineering)という専門領域が確立し、SLI/SLO/エラーバジェットといった指標で信頼性を定量管理する手法が広がっています。試験範囲外ですが、実務では避けて通れない考え方です。