プロジェクトマネジメントの勉強をしていると、「SPIとCPIって名前が似てるし、計算式もごちゃごちゃで覚えられない…」と感じがちです。この記事では、SPI(スケジュール効率指数)を日常の例えで噛み砕き、試験で得点できるレベルまで一気に整理します。

対象試験と出題頻度

SPI(スケジュール効率指数)は、応用情報技術者試験で出題されるEVM(アーンドバリューマネジメント)関連の指標です。

EVMの代表指標であるPVEVACから導かれる比率の一つで、CPI(コスト効率指数)とのペアで問われるのが定番です。「1.0より大きいか小さいかで何を意味するか」を即答できることがゴールになります。

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対象試験:
応用情報技術者
出題頻度:
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える

用語の定義

SPI(Schedule Performance Index:スケジュール効率指数)とは、一言で言うと

 「予定どおりに作業が進んでいるかを「比率」で表す指標

のことです。

イメージとしては、夏休みの宿題の進捗バーです。

8月10日時点で「本来なら20ページ終わっているはず」のところ、実際には15ページしか終わっていなければ、進捗バーは予定より短く伸びている状態。

SPIはこの「予定の長さ」と「実際の長さ」を割り算して、1つの数字に圧縮したものです。1.0なら予定どおり、1.0より小さければ遅れ、1.0より大きければ前倒しです。

📊 SPIの基本情報

項目 内容
英語名 Schedule Performance Index
所属する手法 EVM(アーンドバリューマネジメント)
計算式 SPI = EV ÷ PV
判定基準 1.0未満=遅延/1.0=予定どおり/1.0超=前倒し
出典 PMBOK(Project Management Body of Knowledge)

解説

プロジェクトの進捗を「遅れている/進んでいる」と感覚で語ると、人によって解釈がバラつきます。そこでPMBOKでは、お金(コスト)に換算した3つの値で進捗を数値化するEVMという手法を採用しました。

SPIはその中で「スケジュール面の効率」を切り出した指標です。

EVMの3つの基本値

SPIを理解するには、まず元になる3つの値を押さえる必要があります。

略号 正式名称 意味
PV Planned Value
(計画価値)
現時点で「終わっているはずの作業量」を金額換算したもの
EV Earned Value
(出来高)
現時点で「実際に終わった作業量」を金額換算したもの
AC Actual Cost
(実コスト)
現時点までに「実際に使ったお金」

SPIの計算式と判定

SPIは「予定に対して、どれだけの作業が実際にできたか」を比率で表します。

分母が計画、分子が実績である点がポイントです。

SPIの計算式

SPI = EV ÷ PV

(出来高 ÷ 計画価値)

SPIの値 プロジェクトの状態
SPI < 1.0 スケジュール遅延(予定より作業が進んでいない)
SPI = 1.0 予定どおり
SPI > 1.0 前倒し(予定より作業が進んでいる)

SPIの計算例

具体例で計算してみます。総額1,000万円・10週間のプロジェクトで、5週目時点を観測したとします。

📈 5週目時点の状況

PV(計画):500万円分の作業が終わっているはず

500万円

EV(実績):実際は400万円分しか終わっていない

400万円

SPI = EV ÷ PV = 400 ÷ 500 = 0.8

→ 1.0未満なので「スケジュール遅延」と判定

CPIとの違い

SPIとセットで問われるのが CPI(コスト効率指数) です。

分母が違うだけで判定の考え方は同じですが、見ている「軸」が異なります。

指標 計算式 見ている軸
SPI EV ÷ PV スケジュール(時間軸)の効率
CPI EV ÷ AC コスト(お金)の効率

※ 覚え方:分子は両方EV。SPIは「予定(PV)」と比べる、CPIは「コスト(AC)」と比べる。

では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。

💡 SPIの核心を3行で

・SPI = EV ÷ PV(出来高 ÷ 計画価値)
・1.0未満なら遅延、1.0超なら前倒し
・CPIとセットで覚える(CPIは分母がAC)


試験ではこう出る!

SPIは応用情報技術者試験の午前で、EVM関連の計算問題として繰り返し出題されています。出題パターンは大きく2つです。

📊 過去問での出題実績

試験回 出題内容 問われたポイント
AP R4春
午前 問52
PV・EV・ACの値からSPIとCPIを算出し、進捗・コスト状況を判定する問題。 ・SPI=EV/PV、CPI=EV/ACの公式を暗記
・1.0未満=悪化の判定基準
AP H30秋
午前 問52
EVMで遅延・コスト超過を表す状態の組合せを選ぶ問題。 ・SPI<1かつCPI<1の状態の理解
・EV<PV、EV<ACの不等号関係
AP H27秋
午前 問51
EVMでスケジュール効率を表す指標を問う問題。 ・正解は「SPI」
・CPI・CV・SVがひっかけ

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:計算して判定する問題
PV・EV・ACの3つの数値が与えられ、SPI(とCPI)を計算して「遅延しているか/コスト超過か」を判定する形式。電卓は使えないので、割り切れる素直な数字が出ます。「EVが分子」を絶対に間違えないこと。

 

パターン2:指標の意味を問う問題
「スケジュール効率を表す指標はどれか」という形式。選択肢にはCPI、CV(コスト差異)、SV(スケジュール差異)が並びます。ひっかけは特にSVで、こちらは「比率」ではなく「差(EV−PV)」である点が異なります。比率=SPI、差=SVと覚えるのが鉄則です。

 

試験ではここまででOKです。EAC(完成時総コスト見積)など派生指標まで深追いする必要はありません。


【確認テスト】理解度チェック

ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。


Q. EVMにおけるSPI(スケジュール効率指数)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 実コスト(AC)に対する出来高(EV)の比率で、1.0未満ならコスト超過と判定する指標。
  • B. 計画価値(PV)から出来高(EV)を引いた差額で、マイナスならスケジュール遅延と判定する指標。
  • C. 計画価値(PV)に対する出来高(EV)の比率で、1.0未満ならスケジュール遅延と判定する指標。

正解と解説を見る

正解:C

解説:
SPIは「EV ÷ PV」で計算し、計画どおりに作業が進んでいれば1.0、遅れていれば1.0未満、前倒しなら1.0超となります。スケジュール面の効率を比率で見るのが特徴です。

選択肢AはCPI(コスト効率指数)の説明です。分母がAC(実コスト)になっており、コスト効率を判定する別の指標です。選択肢BはSV(スケジュール差異)の説明です。SVは「EV − PV」で求める「差額」であり、SPIのような「比率」ではありません。SVがマイナスなら遅延、SPIが1.0未満なら遅延、という違いを混同しないでください。


よくある質問(FAQ)

Q. SPIが1.0を超えていれば、プロジェクトは常に順調と判断してよいですか?

スケジュール面だけ見れば順調です。ただしCPIが1.0を下回っていれば、コストを過剰に投入して前倒ししているだけかもしれません。実務ではSPIとCPIを必ずセットで評価します。PMBOKでもこの2つを「パフォーマンス指標」として並列に位置付けています。

Q. プロジェクト終了時点では、SPIはどうなりますか?

必ず1.0に収束します。プロジェクト完了時はEV=PV=総予算(BAC)となるため、EV÷PVが1.0になるからです。このため、終盤になるほどSPIは「遅延の検知能力」が落ちます。途中段階での監視指標と割り切るのが実務的な使い方です。

Q. SVとSPIはどう使い分けますか?

SV(スケジュール差異)はEV−PVで「金額の差」を、SPIはEV÷PVで「比率」を示します。SVは「あと何百万円分遅れているか」という具体額を見たいときに、SPIは「規模の違うプロジェクト同士を比較する」ときに便利です。試験では「差ならSV、比ならSPI」と覚えてください。

Q. SPIはアジャイル開発でも使えますか?

使えますが、ベロシティ(チームの開発速度)やバーンダウンチャートのほうが一般的です。アジャイルでは要件自体が変動するため、固定のPVを前提とするEVMは相性がよくありません。ウォーターフォール型や規模の大きい計画駆動型プロジェクトでSPIの威力が発揮されます。