対象試験と出題頻度
PV(Planned Value)は、応用情報技術者試験で出題されるテーマです。
EVM(アーンドバリューマネジメント)の3大指標のひとつとして、EV・ACとの違いを問う形で午前問題に登場します。午後でもプロジェクトマネジメントの計算問題で頻繁に問われます。
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応用情報技術者
★★☆☆☆
ランクC(応用)余裕があれば覚える
用語の定義
プロジェクトマネジメントを勉強していると、「PVってEVと何が違うの?計画した予算のこと?それとも進捗?」と混乱しがちです。
PV(Planned Value/プランドバリュー)とは、一言で言うと
「ある時点までに完了している”はず”の作業に割り当てられた予算額」
のことです。日本語では「計画価値」と訳されます。
イメージとしては、「夏休みの宿題スケジュール表」です。
夏休み初日に「8月10日までにドリルを30ページ進める」と計画を立てたとします。この「30ページ」が、まさにPVに相当します。実際に何ページ進んだか(EV)でも、何時間かけたか(AC)でもなく、あくまで「その日までに終わっているはずの量」です。
📊 PV(Planned Value)の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | Planned Value(プランドバリュー) |
| 和訳 | 計画価値 |
| 所属する手法 | EVM(Earned Value Management) |
| 単位 | 金額(円・ドルなど) |
| 旧称 | BCWS(Budgeted Cost of Work Scheduled) |
解説
プロジェクトの進捗を「予定どおりか」「予算内に収まっているか」の両面から評価するために、PMBOKではEVMという手法が定義されています。
EVMでは3つの基準値を使ってプロジェクトの状態を数値化します。その出発点となるのがPVです。
PVは、プロジェクト開始時に作成したスケジュールに従って、「測定時点までに消化されているべき作業」を金額換算したものです。実績ではなく計画の側に立つ値であり、進捗の物差しとして機能します。
EVMの3大指標とPVの位置づけ
PVを正しく理解するには、EV・ACとの役割分担を押さえるのが近道です。
| 指標 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| PV | Planned Value | その時点までに完了しているはずの作業の予算額(計画) |
| EV | Earned Value | その時点までに実際に完了した作業の出来高(予算換算) |
| AC | Actual Cost | その時点までに実際にかかったコスト |
PV・EV・ACの関係(グラフ)
EVMでは時間を横軸、累積コストを縦軸にとって3指標をプロットします。
下図は「予定より遅れていて、しかも予算もオーバーしている」状況のイメージです。
EVMグラフ(進捗遅延+コスト超過のケース)
▲ 現在時点で EV < PV →スケジュール遅延、AC > EV →コスト超過
PVから導かれる差異・効率指標
PVは単体で使うのではなく、EVと組み合わせてスケジュール面の評価に用います。
| 指標 | 計算式 | 読み方 |
|---|---|---|
| SV (スケジュール差異) |
SV = EV − PV |
正:予定より進んでいる/負:遅れている |
| SPI (スケジュール効率指数) |
SPI = EV ÷ PV |
1以上:予定より進捗良好/1未満:遅延 |
例えばPV=500万円、EV=400万円なら、SV=−100万円、SPI=0.8となり、計画の8割しか進んでいない=遅延と判断できます。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 PVの核心を3行で
・「その時点までに完了しているはずの作業」を金額換算した計画側の指標
・EV(実績出来高)・AC(実コスト)と並ぶEVMの3大指標のひとつ
・EVとの差や比で、スケジュール遅延(SV・SPI)を評価する基準になる
試験ではこう出る!
PVは応用情報技術者試験の午前・午後の両方で、EVMの計算問題として繰り返し問われています。単独で「PVとは?」と問われるよりも、EV・ACと組み合わせて差異や効率指数を計算させる形が主流です。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| AP R6春 午前 問51 |
EVMで使う指標の組合せとして適切なものを選ぶ問題。 | PV・EV・ACの3点セットを暗記しているかが核心。 |
| AP R5秋 午前 問52 |
EV − PV が負である場合の状況を選ぶ問題。 | SV=EV−PV<0 →「予定より作業が遅れている」が正解。 |
| AP H31春 午前 問52 |
PV・EV・ACそれぞれの定義を問う選択問題。 | 「計画した作業に対する予算」がPVの定義として正解。 |
| AP H25春 午後 問10 |
EVMを用いたプロジェクト管理の事例問題。 | PV・EV・ACの値からSV・CV・SPI・CPIを計算させる本格出題。 |
📝 ひっかけ選択肢の典型パターン
パターン1:PVとEVの取り違え
「実際に完了した作業の出来高」をPVの説明として混ぜてくる。これはEVの説明。PVは”計画”側であり、実績ではない。
パターン2:PVとACの取り違え
「実際にかかったコスト」もPVの説明として混入されやすい。これはACの説明。PVは予算ベース、ACは実費ベース。
パターン3:SV計算の符号ミス
SV=EV−PV であってPV−EVではない。負=遅延、正=前倒し。R5秋問52のように符号の解釈を問うパターンが頻出。
PVの旧称BCWS(Budgeted Cost of Work Scheduled)まで覚える必要はありません。深追いは不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. EVM(アーンドバリューマネジメント)におけるPV(Planned Value)の説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. プロジェクトの測定時点までに、実際に完了した作業に割り当てられていた予算の総額。
- B. プロジェクトの測定時点までに、実際に作業に対して発生したコストの総額。
- C. プロジェクトの測定時点までに、計画上完了しているはずの作業に割り当てられた予算の総額。
正解と解説を見る
正解:C
解説:
PVは「測定時点までに計画上完了しているはずの作業」を予算ベースで金額換算した値であり、選択肢Cが正解です。実績ではなく計画側の基準値である点がポイントです。
選択肢AはEV(Earned Value/出来高)の説明で、計画ではなく「実際に完了した作業」を予算換算したものです。選択肢BはAC(Actual Cost/実コスト)の説明で、予算ではなく実際に発生した費用を指します。PV・EV・ACは「計画」「出来高」「実コスト」の三角関係で押さえると混同しません。
よくある質問(FAQ)
Q. PVとBAC(完成時総予算)はどう違いますか?
BAC(Budget At Completion)はプロジェクト全体が完了したときの総予算で、PVの終着点に相当します。PVは時点ごとに変化する累積値で、最終的にBACと一致します。例えば総予算1,000万円のプロジェクトで全工程の半分が終わる予定の時点ではPV=500万円、完了時点ではPV=BAC=1,000万円となります。
Q. PVは途中で変更されることはありますか?
原則として、PVはプロジェクト開始時に確定したベースラインに基づくため、安易に変更しません。変更管理プロセスを経てスコープや予算が正式に修正された場合のみ、再ベースライン化されます。「進捗が遅れているからPVを下げる」といった運用はEVMの本来の趣旨に反します。
Q. SV(EV−PV)とCV(EV−AC)はどう使い分けますか?
SVは「スケジュール面」、CVは「コスト面」の評価指標です。SVが負ならスケジュール遅延、CVが負ならコスト超過を示します。両方とも計算の基準にEVを使う点が共通しており、EVから何を引くかで意味が変わると覚えると整理しやすくなります。
Q. 実務でPVはどうやって計算しますか?
WBS(作業分解構成図)で洗い出した各作業に予算とスケジュールを割り当て、累積した値をガントチャートや専用ツール(Microsoft Project、JIRA等)で時系列に集計します。手作業で出すこともできますが、規模が大きいプロジェクトではEVM対応のPM管理ツールを使うのが一般的です。