オンプレミスは、クラウドサービスの普及とセットで問われる定番用語です。
ITパスポートから応用情報まで幅広い試験区分で登場するため、クラウドとの違いを正確に押さえておく必要があります。
対象試験と出題頻度
オンプレミスは、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者で出題されるテーマです。
クラウドコンピューティングとの対比で出題されるパターンが定番化しており、「どちらの形態か」を正しく判別できるかが問われます。
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ITパスポート
基本情報技術者
応用情報技術者
★★★★☆
ランクA(重要)必ず覚えておくべき
用語の定義
情報処理試験を勉強していると、「オンプレミスって結局クラウドの反対?何が違うの?」と混乱しがちです。
オンプレミス(On-Premises)とは、一言で言うと
「サーバやソフトウェアを自社の施設内に設置し、自社で管理・運用する形態」
のことです。
イメージとしては、「自社ビルの地下に設けた自家用の厨房」です。
食材の仕入れから調理器具のメンテナンスまで、すべて自社で面倒を見る代わりに、好きな料理を好きなタイミングで作れます。
外部のケータリング(=クラウド)を頼まないので、自由度は高いが手間もかかる、という関係です。
📊 オンプレミスの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語名 | On-Premises |
| 意味 | 「構内で」「敷地内で」の意 |
| 対義語 | クラウドコンピューティング |
| IPA シラバス分類 | テクノロジ系 > コンピュータシステム > システム構成要素 |
解説
クラウドサービスが普及する以前、企業の情報システムは自社施設内にサーバを設置して運用するのが当たり前でした。
当時は「オンプレミス」という呼び方すら存在せず、クラウドの登場によって「自社運用」と「外部サービス利用」を区別する必要が出てきたことで、この言葉が生まれました。
クラウドとの比較
両者の違いを「誰がどこまで面倒を見るか」という観点で整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | オンプレミス | クラウド |
|---|---|---|
| 設置場所 | 自社の施設内 | サービス事業者のデータセンター |
| 管理主体 | 自社 | 事業者(一部は自社) |
| 初期費用 | 高い(ハードウェア購入が必要) | 低い(従量課金が中心) |
| カスタマイズ性 | 高い(自由に構成変更できる) | 事業者のサービス範囲内 |
| 拡張性 | 機器調達に時間がかかる | 短時間でリソースを増減できる |
| 運用負荷 | 大きい(保守・障害対応が自社責任) | 小さい(インフラ部分は事業者が担当) |
図解:管理範囲の違い
自社運用とクラウド(IaaS・PaaS・SaaS)で、管理責任がどこまで自社にあるかを図にすると次のようになります。
管理範囲の比較(色付き=自社管理)
| レイヤー | オンプレミス | IaaS | PaaS | SaaS |
|---|---|---|---|---|
| アプリケーション | 自社 | 自社 | 自社 | 事業者 |
| ミドルウェア | 自社 | 自社 | 事業者 | 事業者 |
| OS | 自社 | 自社 | 事業者 | 事業者 |
| サーバ/ストレージ | 自社 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
| ネットワーク | 自社 | 事業者 | 事業者 | 事業者 |
🟥 赤=自社管理 / 🟦 青=事業者管理
上の図のとおり、自社運用ではすべてのレイヤーを自社が管理します。
クラウドへ移行するほど事業者の管理範囲が広がり、自社の運用負荷が軽くなる構造です。
では、この用語が試験でどのように出題されるか見ていきましょう。
💡 オンプレミスの核心を3行で
・自社施設内にサーバ等を設置し、自社で管理・運用する形態
・クラウドと比較して、初期費用・運用負荷が大きい代わりにカスタマイズの自由度が高い
・クラウド移行で不要になる作業(ハードウェア保守・ミドルウェアのパッチ適用など)と紐づけて覚える
試験ではこう出る!
オンプレミスは、IP・FE・APいずれの試験区分でも「クラウドとの対比」で繰り返し問われています。
📊 過去問での出題実績
| 試験回 | 出題内容 | 問われたポイント |
|---|---|---|
| IP H31春 問30 |
自社管理の設備内で情報システムを運用する形態を表す用語を選ぶ問題。 | ・正解は「オンプレミス」 ・ハウジング、ホスティング、クラウドがひっかけ |
| IP R3 問5 |
サーバの運用形態に関する用語を選ぶ問題で、選択肢のひとつとして出題。 | ・クラウドコンピューティングとの対比 ・用語の意味を正確に区別できるかが焦点 |
| AP R5春 午前 問57 |
自社運用の業務システムをIaaS→PaaSに段階移行する際、不要になる作業の組合せを選ぶ問題。 | ・物理サーバ操作、ハードウェア監視、パッチ適用が不要に ・R7春 問56でも同一問題が流用 |
📝 IPA試験での出題パターン
パターン1:「用語の意味を選べ」(IP向け)
4つのシステム運用形態(オンプレミス・ハウジング・ホスティング・クラウドなど)の説明文が並び、該当するものを選ぶ形式。ひっかけとしてハウジング(施設だけ借りて機器は自社所有)やホスティング(機器ごと借りる)の説明が紛れ込む。キーワードは「自社の設備内」「自社で管理・運用」。
パターン2:「クラウド移行で何が変わるか」(AP向け)
自社運用からIaaS/PaaSへ移行した際に不要になる運用作業を問う形式。ここだけは確実に押さえてください。「IaaSで物理ハードウェアの管理が不要」「PaaSでミドルウェアの管理も不要」という管理範囲の変化を覚えておけば正解できます。
試験ではここまででOKです。ハイブリッドクラウドやマルチクラウドとの関係は深追い不要です。
【確認テスト】理解度チェック
ここまでの内容を理解できたか、簡単なクイズで確認してみましょう。
Q. オンプレミスの説明として、最も適切なものはどれでしょうか?
- A. インターネット経由でサーバやストレージなどのITリソースを、必要なときに必要な分だけ利用できるサービス形態。
- B. サーバやソフトウェアを自社の施設内に設置し、自社の責任で管理・運用するシステムの利用形態。
- C. 通信事業者のデータセンターにラックなどの設置スペースを借り、自社のサーバを持ち込んで運用するサービス。
正解と解説を見る
正解:B
解説:
オンプレミス(On-Premises)は、自社施設内にITインフラを設置し、調達・保守・運用のすべてを自社の責任で行う形態です。
選択肢Aはクラウドコンピューティングの説明です。インターネット経由でリソースを提供する点が自社施設内で完結するオンプレミスとは異なります。選択肢Cはハウジングサービスの説明です。ハウジングは設置場所を外部から借りる形態であり、自社施設内に設置するオンプレミスとは区別されます。
よくある質問(FAQ)
Q. 「オンプレ」と略されることがありますが、試験でも使われますか?
IPA試験の問題文では「オンプレミス」とフル表記されます。「オンプレ」は実務で使われる略称であり、試験本番の問題文で登場することはありません。ただし、選択肢の解説や参考書では略称が使われる場合があるので、両方の表記を認識しておくと混乱を避けられます。
Q. オンプレミスとハウジングサービスはどう違いますか?
ハウジングサービスは、通信事業者のデータセンター内に自社のサーバを持ち込んで設置する形態です。機器は自社所有ですが、設置場所は外部の施設になります。一方、オンプレミスは設置場所も自社の施設内です。「場所を借りるか、自前の場所を使うか」が両者の分かれ目です。IP H31春 問30では、この2つが同じ選択肢群に並んでいたため、違いを把握しておくと確実に得点できます。
Q. 実務ではオンプレミスを選ぶケースはまだありますか?
あります。金融機関や医療機関など、厳格なデータ管理や法令遵守が求められる業界では、自社施設内にシステムを保持するケースが依然として多いです。また、ネットワーク遅延を極限まで抑えたいリアルタイム制御システム(製造ラインの制御など)でも選ばれます。近年はクラウドと自社運用を併用する「ハイブリッドクラウド」構成が主流になりつつあります。
Q. 「オンプレミス」の英語のスペルで注意すべき点はありますか?
「Premises」は複数形(premise の複数形)です。「Premise」(単数形)ではなく「Premises」と書くのが正式です。英語の「on the premises」は「構内で、敷地内で」という意味の慣用句であり、建物・施設を指す場合は常に複数形を使います。日本語カタカナ表記では「オンプレミス」で統一されています。