RFP(提案依頼書)の対象試験と出題頻度

「RFPとRFI、どっちがどっちだったか思い出せない……」。

調達分野の学習で、多くの受験生がこの壁にぶつかります。

RFP(提案依頼書)は、ITパスポート・基本情報技術者・応用情報技術者のすべてで繰り返し出題される超頻出用語です。試験区分を問わず定義を問う問題が頻出であり、特にRFIとの混同が最大の落とし穴となっています。

出題実績は12件以上にのぼり、調達分野では最優先で押さえるべき用語といえるでしょう。

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対象試験:
ITパスポート(IP)
基本情報技術者(FE)
応用情報技術者(AP)
出題頻度:
★★★★★
頻出度S(全区分で繰り返し出題)

RFP(提案依頼書)の定義

「提案依頼書」と「提案書」は名前が似ていて紛らわしく、どちらが発注者側の文書なのか混乱しやすいところです。

RFPは共通フレーム2013の「取得プロセス」やPMBOKの「調達マネジメント」で規定される標準的な調達文書で、発注者がベンダーに対して正式な提案を求める際に使用されます。

RFP(提案依頼書)とは、

発注者がシステムの要件や調達条件をまとめ、ベンダーに提案書の提出を依頼する文書

です。

結婚式場の選定に置き換えて考えてみてください。「予算200万円・ゲスト80名・希望日は6月」といった条件を式場に伝え、「その条件に合うプランを提案してほしい」と依頼する文書がRFPにあたります。一方、式場選びの前段階で「どんな会場があるか」「何名まで対応できるか」と情報を集める行為がRFI(情報提供依頼書)に該当する、という対比で整理すると覚えやすいでしょう。

📊 RFP(提案依頼書)の基本情報

項目 内容
正式名称 Request for Proposal
和名 提案依頼書
目的 ベンダーに対してシステム要件・調達条件を提示し、具体的な提案書の提出を依頼する
発行者 発注者(ユーザー企業)
分類 ストラテジ系 > システム企画 > 調達計画・実施

解説

調達プロセスの全体フロー ― RFPの位置を押さえる

RFPは調達プロセス全体の第2段階に位置付けられます。

RFIで情報を収集した後、具体的な提案を求めるためにRFPを発行し、その後に提案評価・供給者選定・契約締結へと進む流れです。

この一連のプロセスはPMBOKの調達マネジメントや調達マネジメントの知識エリア、さらに企画プロセスで策定した方針を受けて実行されるものとして、試験では繰り返し問われるポイントです。

以下のフロー図で、RFPがどの段階にあるかを確認しておきましょう。

📊 調達プロセスの全体フロー

RFPは第2段階に位置する(オレンジ枠)

① RFI発行
ベンダーの技術力・実績などの情報を収集
② RFP発行(本記事の対象)
要件・条件を提示し提案書の提出を依頼
③ 提案評価
受領した提案書を評価基準で比較
④ 供給者選定
最適なベンダーを選定
⑤ 契約締結
合意内容を正式に契約

共通フレーム2013・PMBOKの調達マネジメントに基づく標準的な流れ

RFPには何を書くのか ― 標準構成と記載項目

RFPの記載項目は、機能要件と非機能要件を明確に分けて提示することが求められます。この分離提示はAP H22春問65の正解根拠にもなっており、試験上も重要な知識です。

また、要件定義プロセスで整理した要件がRFPに反映される関係にあるため、両者のつながりも押さえておくと理解が深まります。

以下の図で、RFPに盛り込む8つの標準構成項目を確認できます。

📊 RFPの標準構成(8つの記載項目)

番号順に記載するのが一般的な構成

① 提案依頼の趣旨
なぜ提案を求めるのか
② 調達の目的・背景
経営課題やシステム化の狙い
③ システム概要
対象範囲・利用者数・規模感
④ 機能要件
実装すべき業務機能の一覧
⑤ 非機能要件
性能・可用性・セキュリティ等
⑥ PM要件
体制・スケジュール・進捗報告
⑦ 保証要件
瑕疵担保・保守条件
⑧ 契約条件
支払条件・知的財産権の帰属

⑤非機能要件(オレンジ枠)は記載漏れが多く、試験でも実務でも特に注意が必要な項目

RFI・RFP・RFQ・IFB ― 調達4文書の違いを一発整理

調達プロセスで使われる文書はRFPだけではありません。

判別のコツは「ベンダーから何を受け取るか」に注目すること。

情報ならRFI、提案書ならRFP、見積書ならRFQ、入札書ならIFBと覚えると、選択肢の切り分けが容易になります。

📊 調達4文書の比較表

文書名 正式名称 目的 発行タイミング ベンダーから受領するもの IPA出題頻度
RFI Request for Information ベンダーの技術力・実績等の情報収集 調達の最初期 情報(技術資料・事例等) ★★★★★
RFP Request for Proposal 要件・条件を提示し提案書を依頼 RFI回収後 提案書 ★★★★★
RFQ Request for Quotation 価格・見積条件の提出を依頼 RFP前後 見積書 ★★
IFB Invitation for Bid 仕様確定済みの案件で入札を募集 仕様確定後 入札書

📝 解説セクションのポイント整理

・調達プロセスの順序は「RFI → RFP → 提案評価 → 供給者選定 → 契約締結」の5段階
・RFPの記載項目は機能要件と非機能要件を分けて提示するのが鉄則
・調達4文書の判別は「ベンダーから何を受け取るか」で切り分ける
・RFPの行(黄色背景)が試験最頻出。RFIとの違いを最優先で覚える

試験ではこう出る!

出題パターン分析(3パターン)

RFPの過去問は大きく3つのパターンに分類できます。

どのパターンで問われても対応できるよう、それぞれの特徴と対策を押さえておきましょう。

📝 IPA試験での出題パターン

パターン1:RFPの定義・説明を選べ(最頻出)
RFP・RFI・SLA・NDAなどの定義文を4択で提示し、RFPに該当するものを選ばせる形式。IP R5問32、IP R8問20、IP H22春問4などで出題。「提案書の提出を依頼する文書」という表現が正解の目印となる。

 

パターン2:調達プロセスの順序並べ替え・空欄補充
RFI→RFP→提案評価→選定→契約のフロー図で、空欄に入る工程を選ばせる形式。FE H22春問67、FE H24春問66(=FE H30秋問66)、AP H23秋問65が該当。フローの順番をセットで暗記しておくことが必須。

 

パターン3:RFP作成・提示時の留意事項
ユーザー企業がRFPを作成・提示するうえで適切な対応を選ばせる形式。FE H28秋問66、AP H22春問65、AP H24春問65で出題。「要件の重要度を設定する」「特定ベンダーを優遇しない」等が正解の判断材料になる。

出題実績一覧(試験区分別)

確認済みの出題実績は以下のとおりです。IP・FE・APすべてで複数回の出題があり、調達分野では最も手厚い対策が必要な用語であることがわかります。

ITパスポート(IP)の出題実績

H22春 問4:調達フロー図の空欄に入るものを選ぶ問題(正解:ウ)

H26春 問7:RFIとRFPの目的の組合せを選ぶ問題(正解:ア)

R5 問32:RFPの説明として最も適切なものを選ぶ問題(正解:エ)

R8 問20:RFPの説明として適切なものを選ぶ問題(正解:イ)

基本情報技術者(FE)の出題実績

H22春 問67:調達プロセスの順序並べ替え(正解:ア)

H24春 問66:調達手順の図中bに入るもの(正解:イ)

H28秋 問66:RFI回答後のRFP提示における公正なベンダー選定手続き(正解:ウ)

H30秋 問66:調達手順の図中bに入るもの(H24春問66の再出題)(正解:イ)

応用情報技術者(AP)の出題実績

H21春 問66:提案依頼書作成のために情報提供を要請するもの(正解:イ)

H22春 問65:RFP提示にあたって留意すべきこと(正解:エ)

H23秋 問65:調達プロセスの順序並べ替え(正解:イ)

H24春 問65:RFP作成と提案依頼におけるユーザー企業側の適切な対応(正解:ウ)

ひっかけポイントと対策

RFPの問題で最も多いひっかけは、RFIとの混同です。

選択肢に「情報の提供を依頼する文書」と書かれていたら、それはRFIの説明。RFPの正解選択肢には必ず「提案書の提出を依頼」という趣旨の記述が含まれます。

次に多いのが「作成者の取り違え」で、「ITベンダーが作成する文書」を正解と勘違いするパターン。RFPは発注者側が作成してベンダーに送付する文書です。

また、SLA(サービスレベル合意書)がRFPの選択肢に混入する出題もあり、SLAは調達文書ではなくサービス品質の合意書であることを区別しておく必要があります。

AP受験者は「工程の完了時期はベンダーに一任する」のような選択肢にも注意が必要。

RFPには納期・スケジュールも明記するのが原則であり、ベンダーへの丸投げは不適切な対応として不正解になります。

受験生が間違えやすい「RFPの作成者」と「RFPの目的」

なぜ「誰が作るか」で迷うのか ― ベンダー作成と勘違いする受験生が多い

RFPの「P」はProposal(提案)を意味するため、「提案する側=ベンダーが作る文書」と思い込む受験生が少なくありません。

しかし実際には、RFPは「提案を依頼する文書」であり、作成するのは発注者(ユーザー企業)側。

IP R8年問20の選択肢アに「ITベンダーが作成した提案についての文書」という記述がありましたが、これはまさにこの誤解を突いた選択肢です。

「Request(依頼する)」の主語が発注者であることを意識すれば、作成者を間違えることはなくなります。

「提案書」と「提案依頼書」を混同しない ― 名前の似た2つの文書

発注者が出すのが「提案依頼書(RFP)」、ベンダーがそれに応えて返すのが「提案書」。文書の流れる方向がまったく逆です。

提案依頼書は「こういうシステムがほしい」と条件を伝える文書であり、提案書は「このように作ります」と回答する文書にあたります。

名前が1文字違いなので紛らわしいですが、「依頼」が付いている方が発注者側の文書と覚えておけば確実に区別できます。

現場での体感 ― 1作業者の目線で語るRFP作成

筆者自身も初めてRFP作成に携わった際、要件の粒度が粗すぎてベンダーから「何を提案すればいいかわかりません」と返された経験があります。

特に非機能要件の記載漏れが多く、「可用性99.9%」なのか「99%で十分」なのかが書かれていないと、ベンダー側は見積もりの前提が立てられません。

実務では、各要件に「必須・希望・任意」といった重要度を設定しておくと、ベンダーの提案精度が大きく上がります。

この重要度の設定はAP H24春問65でも正解の根拠として問われている内容であり、試験知識と実務が直結する好例です。

【確認テスト】RFP(提案依頼書)の理解度チェック

Q. 情報システムの調達を予定している企業が、発注先候補のITベンダーに対してシステムの要件や調達条件を示し、具体的な提案書の提出を依頼する文書として、最も適切なものはどれか。

  • A. RFI(情報提供依頼書)。ベンダーが保有する技術や導入実績などの情報提供を依頼する文書である。
  • B. SLA(サービスレベル合意書)。提供するサービスの品質水準を、利用者と提供者の間で合意した文書である。
  • C. RFP(提案依頼書)。発注者がシステムの要件や調達条件をまとめてベンダーに提示し、具体的なシステム提案を依頼する文書である。
正解と解説を見る

正解:C

解説:
問題文の「要件や調達条件を示し、具体的な提案書の提出を依頼する文書」はRFP(提案依頼書)の定義そのものです。RFPは発注者側が作成し、ベンダーに送付して提案書の提出を求める文書であり、選択肢Cの記述と一致します。

Aが不正解の理由:RFI(情報提供依頼書)は「情報の提供を依頼」する文書であり、問題文にある「提案書の提出を依頼」とは目的が異なります。RFIはRFPの前段階で、ベンダーの技術力や実績などの情報を集めるために使われるもの。

Bが不正解の理由:SLA(サービスレベル合意書)は調達文書ではなく、サービス提供後の品質基準を定める合意書です。「ベンダーへの依頼文書」ではないため、問題文の趣旨に合致しません。

RFP(提案依頼書)の関連用語ネットワーク

RFPの学習効果を高めるために、関連する用語を前提知識・関連用語・発展の3カテゴリで整理しました。

📊 関連用語マップ

カテゴリ 関連用語
前提知識 SLCPEA(エンタープライズアーキテクチャ)
関連用語 RFI(情報提供依頼書)、RFQ(見積依頼書)、IFB(入札招請書)、スコープマネジメント
発展 SLA(サービスレベル合意書)、調達マネジメント、NDA(秘密保持契約)